2018-01-01から1年間の記事一覧

張飛―愛すべきトラブルメーカー

久しぶりの『三国志』について。 小説『三国志演義』の主人公といえば劉備、関羽、張飛の三兄弟で、それぞれのキャラクターも確立しています。情け深く仁徳の人である劉備、義に厚く知勇に優れた名将関羽、そして乱暴者のトラブルメーカー張飛です。 今回、…

秦淮に泊す

泊秦淮 秦淮(しんわい)に泊す 杜牧煙籠寒水月籠沙 煙は寒水を籠(こ)め 月は沙(すな)を籠む夜泊秦淮近酒家 夜 秦淮に泊し 酒家に近し商女不知亡国恨 商女は知らず 亡国の恨み隔江猶唱後庭花 江を隔てて猶ほ唱す 後庭花 もやは寒々とした川の水を包み込み、月…

南史演義 巻5-8

慕容超(ぼようちょう)はそこで韓範(かんはん)を秦に遣わして援軍を求めさせた。しかし彼らは知る由もなかったが、そのころ秦は夏(か)の侵攻を受け、兵を出しても敗戦が続いており、他を顧みる余裕はなかったのである。そのため先に遣わされた張綱(ちょうこう…

南史演義 巻5-7

段暉(だんき)の言に対して、慕容超(ぼようちょう)は言った。「卿の下策がすなわち上策だ。今、歳星は斉の方角にある。すなわち天道から推察すれば、戦わずとも勝ちは得られるはずだ。そして我が方と敵の状勢はそれぞれ異なるが、人事から言っても勝ちの状勢…

南史演義 巻5-6

その冬、汝水(じょすい)は乾上がり、黄河は凍ったが、澠水(べんすい)は凍らなかった。燕王慕容超(ぼようちょう)は左右に問うた。「澠水はどうして凍らないのか?」右筆の李宣(りせん)は言った。「その川は京城を巡っており、日や月〔天子や皇后を指す〕に近…

南史演義 巻5-5

長安を出て一日も立たないうちに、慕容超(ぼようちょう)らは燕との境界にたどり着いた。地方官が先行して燕王に奏上した。燕王慕容徳(ぼようとく)はこれを聞いて大いに喜び、騎兵三百を遣わして彼を迎えた。慕容超は広固(こうこ)に至り、そこで慕容徳に会っ…

易水送別

易水送別 駱賓王 此地別燕丹 此の地 燕丹に別れ壮士髪衝冠 壮士 髪 冠を衝(つ)く昔時人已没 昔時 人 已に没し今日水猶寒 今日 水 猶ほ寒し この地はかつて荊軻が燕の太子丹と別れたところだ。当時の壮士たちは、髪が冠を突き上げるほど悲憤慷慨していた。そ…

南史演義 巻5-4

ところで南燕王慕容徳(ぼようとく)は、はじめ前秦に仕えて張掖(ちょうえき)太守となった。母の公孫氏(こうそんし)、同母兄の慕容納(ぼようのう)はみな張掖に住んでいた。淮南の役〔前秦の苻堅が南下して東晋を攻めた戦〕では慕容徳は苻堅(ふけん)にしたがっ…

南史演義 巻5-3

夏四月、劉裕は藩国に帰ることを願い出た。詔があり、改めて都督荊司等十六州諸軍事に任じられ、軍を率いて京口(けいこう)に還った。 これより先、桓玄が禅譲を受けた際、王謐(おうひつ)は司徒となり、自ら安帝の玉璽を解いて桓玄に奉った。その王謐が揚州刺…

南史演義 巻5-2

これより先、劉裕は劉敬宣(りゅうけいせん)に命じて諸軍の後援としていた。敬宣は日夜おこたることなく武器甲冑を整え、金や糧食を集め蓄えていた。そのため何無忌(かむき)等は敗退したとはいえ、これらを得てまた士気は高まった。兵を数十日とどめた後、ま…

南史演義 巻5-1

第五巻 晋室を扶(たす)けて四方は悦び服し 燕邦を伐ちて一挙に蕩平す さてこの桓玄(かんげん)を殺したのは、すなわち益州刺史毛璩(もうきょ)の甥、毛祐之(もうゆうし)であった。桓玄が帝位を簒奪した際、毛璩を益州刺史とし、さらに左将軍を加えようとしたが…

歩出夏門行〔観滄海〕 ― 曹操

歩出夏門行〔観滄海〕 曹操 東臨碣石 東のかた碣石(けっせき)に臨み以観滄海 以て滄海を観る水何澹澹 水は何ぞ澹澹(たんたん)たる山島竦峙 山島 竦峙(しょうじ)たり樹木叢生 樹木 叢(むら)がり生じ百草豊茂 百草 豊かに茂る秋風蕭瑟 秋風 蕭瑟として洪波湧起…

巧言令色、鮮し仁

『論語』学而 子曰く、「巧言令色、鮮(すくな)し仁」と。 孔子は言われた、「巧みな言葉を用い、愛想良く表情を取り繕う者は、仁の心は少ない」と。 孔子の有名な言葉の一つです。 漢の包咸(ほうかん)の注によれば、「巧言」とは言葉を巧みに飾ること、「令…

隋宮の春

隋宮の春 杜牧龍舟東下事成空 龍舟 東に下るも 事 空(くう)と成る蔓草萋萋満故宮 蔓草(まんそう) 萋萋(せいせい)として 故宮に満つ亡国亡家為顔色 国を亡(ほろ)ぼし家を亡ぼすは 顔色が為なり露桃猶自恨春風 露桃 猶ほ自ら春風を恨む 煬帝は龍舟を浮かべて東…

白頭を悲しむ翁に代す

代悲白頭翁 白頭を悲しむ翁に代す 劉希夷 洛陽城東桃李花 洛陽の城東 桃李の花飛来飛去落誰家 飛び来たり飛び去りて 誰(た)が家にか落つ洛陽女児好顏色 洛陽の女児 顔色を好み坐見落花長歎息 坐(そぞ)ろに落花を見て 長く歎息す今年花落顏色改 今年 花落ちて…

独酌―白居易

独酌 白居易窓外正風雪 窓外 正に風雪擁炉開酒缸 炉を擁して 酒缸を開く何如釣船雨 何如(いかん)ぞ 釣船の雨篷底睡秋江 篷底 秋江に睡るに 窓の外はいまや吹雪。その音を聞きながら炉端で酒がめのふたを開く。この楽しさは、秋の川辺で雨音を聞きながら、釣…