桃夭
先日、「桃園の誓い」でも触れましたが、中国で春の花と言えば一つ桃がイメージされます。
桃之夭夭 桃の夭夭(ようよう)たる
灼灼其華 灼灼たる其の華
之子于帰 之(こ)の子 于(ここ)に帰(とつ)ぐ
宜其室家 其の室家に宜(よろ)しからん
桃の木は若々しく、輝くような鮮やかな花が咲く。
この子が嫁いでいけば、きっとあの家にふさわしい良い妻になるだろう。
これは中国最古の詩集『詩経』の中にある「桃夭」という詩です。
嫁ぎゆく女性を桃の花にたとえ、その若々しさ、華やかさを詠ったもので、結婚を祝う詩ですが、その季節はやはり春を連想させます。
桃にはさらに魔除けとしての力があると考えられ、不老長寿の効果があり、仙人の食べ物というイメージもあります。これは春に花咲き大きな実を付ける桃が、生命力みなぎる春の季節を象徴するものとして認識されていたためでしょう。先の「桃夭」の詩が結婚を祝福する歌とされるのも、やはりこれら桃の持つイメージが大きく関わっていると思われます。