巧言令色、鮮し仁

論語』学而

子曰く、「巧言令色、鮮(すくな)し仁」と。


孔子は言われた、「巧みな言葉を用い、愛想良く表情を取り繕う者は、仁の心は少ない」と。


 孔子の有名な言葉の一つです。

 漢の包咸(ほうかん)の注によれば、「巧言」とは言葉を巧みに飾ること、「令色」とは表情を巧みにつくろうことで、ともに相手を喜ばせようとする行動であるとし、そこに「仁」は少ないと孔子は言います。

 「仁」はしばしば日本語で「思いやり」とも訳されます。相手を思い、相手が喜ぶことをするのは一見すると「仁」(思いやり)のように思えますが、「巧言令色」によって喜ばせるというのは、それは決して「仁」ではないのです。

 相手を「思いやる」のであれば、あえて直言することも必要でしょう。