独酌―白居易
独酌 白居易
窓外正風雪 窓外 正に風雪
擁炉開酒缸 炉を擁して 酒缸を開く
何如釣船雨 何如(いかん)ぞ 釣船の雨
篷底睡秋江 篷底 秋江に睡るに
窓の外はいまや吹雪。その音を聞きながら炉端で酒がめのふたを開く。この楽しさは、秋の川辺で雨音を聞きながら、釣り船の篷(とま)の底で眠るのと比べてどうであろうか。
※[擁炉]炉のそばでの意。 [酒缸]酒がめ。 [何如](~と比べて)どうだろうか。 [篷]茅などを編んだもの。船などを覆い、雨露をしのぐのに用いる。
外では激しく雪が降る中、暖かい炉端で酒がめを開き、独り酒を飲んでいます。その楽しみを、「釣船の雨、篷底 秋江に睡る」(秋の川辺で雨音を聞きながら、釣り船の篷の底で眠る)ことと比べています。そもそも釣りをする人(漁夫)は隠者の象徴であり、これは隠者としての楽しみを指していると言って良いでしょう。
白居易はどちらを良しとしているのでしょうか。
「独酌」の詩題が示すように、やはり隠者となって釣り船の篷の底で眠るよりも、吹雪の中、独り酒を飲むことをこそ楽しみとしているのでしょう。