夜雪

 夜雪   白居易

已訝衾枕冷  已に訝(いぶか)る 衾枕(きんちん)の冷やかなるを

復見窓戸明  復た見る 窓戸の明らかなるを

夜深知雪重  夜 深(ふ)けて 雪の重きを知る

時聞折竹声  時に聞く 折竹(せつちく)の声

 

 なぜか布団や枕が冷たく、また窓のあたりがひときわ明るく見える。夜も更けてきて、雪がかなり降り積もったことを知る。時折り、雪の重さに堪えかねて竹が折れる音が聞こえてくるから。

 

 冬の夜の雪を詠った詩です。しかしそこに直接目にした雪そのものは描かれていません。

 家の中にあって、雪自体は見ていないものの、布団や枕の冷たさ(触覚)や窓の外の明るさ(視覚)、そして竹の折れる音(聴覚)など、五感をさまざまに駆使して間接的に夜の雪の様子を詠っています。非常に巧みな描写と言えるでしょう。