三国志

張飛の成長

引き続き張飛の話です。 徐州での失態以降、張飛が起こす大きなトラブルはなくなります。そして逆に次のような例が見られるようになります。

張飛―愛すべきトラブルメーカー

久しぶりの『三国志』について。 小説『三国志演義』の主人公といえば劉備、関羽、張飛の三兄弟で、それぞれのキャラクターも確立しています。情け深く仁徳の人である劉備、義に厚く知勇に優れた名将関羽、そして乱暴者のトラブルメーカー張飛です。 今回、…

歩出夏門行〔観滄海〕 ― 曹操

歩出夏門行〔観滄海〕 曹操 東臨碣石 東のかた碣石(けっせき)に臨み以観滄海 以て滄海を観る水何澹澹 水は何ぞ澹澹(たんたん)たる山島竦峙 山島 竦峙(しょうじ)たり樹木叢生 樹木 叢(むら)がり生じ百草豊茂 百草 豊かに茂る秋風蕭瑟 秋風 蕭瑟として洪波湧起…

関羽と曹操

以前、関羽と曹操の関係について少し述べましたが、『三国志演義』においてこの二人の関係(因縁と言って良いかもしれません)は一つの重要な要素です。 関羽と曹操が初めて会ったのは、第5回です。 漢末の混乱に乗じて権力を握り、都で横暴の限りをつくす董…

曹操の恋―吉川『三国志』より

関羽と曹操について、今回は吉川英治『三国志』から見てみたいと思います。 以前述べたように、曹操は関羽を非常に高く評価し、自身の部下にしたいと願いますが、その時の曹操の思いを、吉川英治は「恋」と表現しています。 吉川英治『三国志』では「恋の曹…

義絶―関羽

関羽、字は雲長は、『三国志』中でも非常に人気のある人物の一人です。 劉備が旗揚げした頃から仕え、張飛とともにその護衛官のような役割を務めていました。その関係性は、『三国志』蜀書・関羽伝に「恩は兄弟の如し」とあるように、非常に親密なものであり…

槊を横たえて詩を賦す ― 詩人曹操

魏の武帝曹操は実は詩人としても傑出した人物でした。今日はその詩を紹介します。 短歌行 曹操対酒当歌 酒に対して当に歌ふべし人生幾何 人生 幾何(いくばく)ぞ譬如朝露 譬へば朝露の如く去日苦多 去る日は苦(はなは)だ多し慨当以慷 慨(がい)して当に以て慷(…

三顧の礼―『三国志演義』

先日述べたように、「三顧の礼」については、諸葛亮自身が「出師表」で述べており、正史『三国志』にも記されていますが、具体的な状況については触れておらず、三度諸葛亮のもとを訪れたという簡潔な記述のみです。 一方、小説『三国志演義』では、諸葛亮の…

三顧の礼

天下三分の計を示して劉備の信頼を得た諸葛亮ですが、この両者の出会いは三顧の礼のエピソードでよく知られています。 諸葛亮、字は孔明は、もともと琅邪郡陽都県の人でしたが、荊州に移住し、その地で自ら農耕するなど、隠者の生活を送っていました。正史『…

諸葛亮の「天下三分の計」

諸葛亮、字は孔明。『三国志』を題材とした作品の中ではしばしば天才軍師として描かれます。敵の心理や計略を読み、その裏をかくその軍略は、読む者を非常に興奮させるものでしょう。しかしそれはあくまで『三国志演義』など創作の物語における諸葛亮像であ…

袁紹と曹操

袁紹、字は本初。四世三公(四代にわたり官職の最高位である三公を出した)の名門袁氏の出身であり、後漢末の群雄の一人として冀州を中心に中国北部を支配し、一時は曹操をしのぐ勢力を誇ります。しかしその性格は名門意識が高いばかりで、猜疑心が強く、優…

劉備のイメージ

劉備、字は玄徳。小説『三国志』においては一般に主人公として描かれる人物です。謙虚で義に厚く仁愛に富んだ人柄や、漢王朝復興を目的として粉骨砕身する姿が共感を呼び、曹操という強大な敵役に対する反発もあって、いわゆる判官贔屓的な人気があります。 …

『蒼天航路』雑感

『蒼天航路』とは、李學仁(イ・ハギン)原案・王欣太(KING★GONTA)画の『三国志』のマンガです。ただこのマンガは他の『三国志』マンガと異なり、正史『三国志』をベースとし、一般的な『三国志』ではしばしば悪役として描かれる曹操を主人公とした点で画…

桃園の誓い

4月に入り、花も盛りの季節となりました。日本では春の花といえば桜ですが、中国では桃のイメージが強いようです。そして桃の花の咲き誇る「桃園」で劉備、関羽、張飛の3人が義兄弟の契りを結ぶところから、小説『三国志演義』の物語は始まります。(桃園…

曹操の風貌

以前のエントリーで、現在では曹操のイメージが多様化しているとして、ネット上のさまざまな曹操像を紹介しました。では実際の曹操はどのような風貌だったのでしょうか。 まず小説『三国志演義』の記述を見てみると、その登場シーンは以下の通りです。 先頭…

「乱世の姦雄」曹操

今回は曹操について少し述べてみたいと思います。 小説『三国志演義』において、魏の曹操は「乱世の姦雄」と呼ばれ、一般に悪役として描かれています。 この語は、若かりし頃の曹操が、許劭という人物に「君は治世の能臣、乱世の姦雄だ」と評されたことに基…

三国志雑感

最初はやはり『三国志』の話から。 一口に『三国志』といっても、実は大きく二つに分けられます。 晋・陳寿の編纂した歴史書である『三国志』と、明・羅貫中の作とされる小説『三国志演義』です。日本で一般に『三国志』という場合、多くは小説『三国志演義…